和泉山脈にある燈明ヶ岳といえば犬鳴山を思い浮かべるが、蔵王峠の西にある燈明岳も葛城修験にかかわる山である。混乱を避けるため、登山の世界では「東ノ燈明岳」と呼ばれる場合が多い。 槇尾山をはじめ、三国山・南葛城山など主な山を登り終えたいま、この山を滝畑ダムから周回することにした。石川の渓流に沿って上流をめざし、荒滝・御光滝・夫婦滝を見たあと深タワへ向け尾根に取りつく。畑山を往復して稜線を南下すると、第十二経塚のある護摩のサコに着いた。神野(こうの)山の三叉路には「左 まきのを」と彫った石の道標が残る。登り返して三等三角点のピークに達すると、雰囲気のよい広場に碑伝(ひで)が置かれていた。 樹木の成長で景色が望めない展望台から林道に降り、堀越の三叉路から谷沿いに蔵王峠をめざす。行く手には和泉山脈の主稜がつづき、南葛城山の方向が開ける。葛城蔵王権現社に参拝し、峠から北へ滝畑ダムまで歩いた。蔵王峠はおもしろい地形で、峠の横に川があって滝畑ダムに流れ下る。川沿いに河内と紀北を結ぶ道があり、南側には旧道が林の中につづいていた。 道中ではこの時期らしい草花をたくさん見たが、シロツリフネ(チョウセンツリフネ)の大きな群落に圧倒される(2021.10.1)。 |