揖保川の源流にある藤無(ふじなし)山は、播磨側からアプローチするとなかなか遠い。いっぽう、但馬側なら比較的容易で、天気を判断して行こうと考えていた。かつては藪山で、雪のある時期が登山シーズンだったが、現在は宍粟(しそう)市・養父(やぶ)市のどちら側からも道が開かれている。 この8月は第2週から豪雨や長雨がつづき、他の山行計画はすべて中止。やっと、天気の安定する日が出てきたので、短時間で登れる山域から決めた。 八鹿(ようか)から大屋川を遡り、養父市大屋町の若杉(わかす)から若杉高原おおやスキー場に入る。ゲレンデの最上部から荒れた林道で稜線に達し、あとは播但国境を南東に向かう。花を終えたジギタリスがあちこちで繁茂していた。両側の大半が植林なので季節感は乏しいが、ところどころで眺望のきく地点がある。残念ながら、氷ノ山は樹林に遮られ、なだらかな尾根の一部しか見ることができなかった。二等三角点の頂上は東側が開かれ、周囲の広葉樹とともによい雰囲気が漂っている。 帰途、水流に近いところではオタカラコウの花が咲き始めていた。時間があるので、若杉の不動滝に寄って涼む。「若杉ざんざか踊」が伝わる三社神社にも立ち寄った。この踊りは南朝の流れを汲むようで、元は十津川(奈良県)にあるという(2021.8.30)。 |