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阿寒湖畔に三泊したので、空いた時間を使って付近を散策する。何より有名なのはマリモだが、チュウルイ島にある展示施設を訪ねるのは時間的に厳しかった。 アイヌコタン(集落)では観光客の姿も見られたが、湖畔のボッケ遊歩道を歩く人はほとんどいない。自然志向の者としては、こちらに惹かれる。煮え立つという意味のポフケが「ボッケ」(泥火山)の語源だとされ、泥湯の様子が阿寒の火山を象徴していた。付近には石川啄木の歌碑が立っている。 森のこみちに足を踏み入れると、途端に深い森に変わって巨樹が目立つ。カツラの周りは甘い香りに包まれていた。大半がトドマツ・エゾマツなどで、シナノキの大木もある。樹皮の鱗片が大きく赤いものは、アカエゾマツと呼ぶらしい。地熱があるのか、シダ類の大きな株も目立つ。一周して阿寒湖畔エコミュージアムセンターに入り、四季のビデオを見たりした。 最後に、松浦武四郎の詩碑に寄って写真を撮る。氏は幕末から明治にかけての探検家で、北海道(北加伊道)の名付け親でもある。蝦夷地にかかわる著述は多く、若い頃に『定本 松浦武四郎』(吉田武三著・三一書房刊)を読んで感銘をうけた。 また、明治政府の殖産興業政策を推進した前田正名(まえだ まさな)の像が公園にあった。道東の発展に力を尽くした人物だが、自然環境の保護にも熱心で、阿寒国立公園の多くが個人の資産をもとに指定された。現在は『前田一歩園財団』に引き継がれ、その意思が継承されている。 時間が来たので、大山咋神を祀る阿寒岳神社からバスセンターに向かう(2021.7.19)。 |
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