|
|
大町桂月は、大雪山で山の大きさを語っている。標高2,000m級のスケールと広大な山稜。点在する火山は圧倒的な風景として印象的だ。これまで、標高の低い阿寒の山々はそれほどでもないと勝手にイメージしていたが、雌阿寒岳へ登って認識を新たにした。この山塊も、けっして大雪山に劣るものではないという印象を持つ。 雌阿寒岳は、一般的に雌阿寒温泉(野中温泉)から登る人が多い。今回はオンネトーから取り付いて阿寒富士と雌阿寒岳の鞍部に達し、阿寒富士を往復してから雌阿寒岳に登頂。火口縁をマチネシリ(剣ヶ峰)との鞍部からウグイ川へ下山し、フレベツ林道を阿寒湖温泉へ帰る計画にした。週末だけに雌阿寒岳までは人の姿も多かったが、阿寒湖温泉へのコースはまったく人と出会うことがなかった。それでも、マチネシリ(剣ヶ峰)の頂上に立つ人があって、バリエーションを志向する登山者のあることが嬉しい。 翌日は雄阿寒岳に滝口から往復する。阿寒湖と太郎湖から阿寒川が流れ出ており、美しい水辺から斜面を登り始めた。エゾマツ・トドマツの林には巨木も多く、よい雰囲気だ。標高650m付近には風穴があって、岩の間から涼しい風が吹き出ている。1,190mの五合目まで急坂がつづく。上部は台地状になって、いくつものピークを越えて辿り着いた。北側のパンケトーを見下ろしながら、ゆっくり時間を過ごす。帰途は阿寒湖畔の遊歩道で阿寒湖温泉に戻ろうと思っていたが、通行止で仕方なく暑い国道を歩く羽目になった。 雌阿寒岳と雄阿寒岳。対照的な山容と自然の構成要素の違い。それぞれ異なる特徴を備えており、阿寒を知るには両ピークに登る必要があろう(2021.7.17〜7.18)。 |
|