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三国岳と養老山の間に位置する胡麻(ごま)峠は、綾部市の上林(かんばやし)川流域の人々にとって生活を支えた峠である。由良川筋の山家(やまが)を経て綾部へ出るより、距離が短いのでよく使われた。舞鶴市の多門院(たもんいん)と綾部市の老富(おいとみ)を結び、舞鶴市与保呂(よほろ)にも行けるため、行先によって複数のルートがある。三国岳は、丹後・丹波・若狭の境界にある山だが、養老山は西側に位置する与保呂に起因する山名らしい。東側の大唐内(おがらち=老富町)では高尾と呼び、峠の南側にある655m峰を畑口山と称する。 峠をうまく生かして登ろうと考え、多門院最奥の黒部(くろぶ)から取り付く。山中の平坦地は寺院の跡ともいわれている。尾根に出ると送電線の鉄塔が連続し、登るにつれて眺めがよくなる。稜線付近は落葉広葉樹の林で涼しく歩けた。階段のつづく送電線の巡視路で、まず三等三角点の三国岳に立つ。東面が180度の展望。若狭から丹波の山々が連なる。 昼食後に峠から養老山を往復。鉄塔の建つ地点を中心に、今度は西面の景色がよくなる。これまで登った山が姿を見せ、同定を楽しんだ。途中で林道が直下まで来ていたが、行先が不明のため尾根を忠実にたどる。二等三角点の頂上は樹木に覆われていた。 峠に戻って大唐内へ降る。上部は古道らしい雰囲気でよかったものの、谷筋は水害や倒木で荒れていた。標識はあるものの、あまり歩かれてない印象を受ける。この季節らしい草花を眺めながら、「水源の里・老富会館」で府道1号に出た。上流は福井県小浜へ通じる道路を、反対にバス停がある於見(おおみ)まで川に沿って歩く。珍しいのか、出会った住人や車で通りかかった人から、山のことを何度も聞かれた(2021.6.11)。 |
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