探山訪谷[Tanzan Report]
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 No.680【高千穂峰】
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左=高千穂河原の鳥居  右=コガクウツギ
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霧島神宮古宮址から仰ぎ見る御鉢
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左=ミヤマキリシマ  右=御鉢への道
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御鉢の斜面に咲くミヤマキリシマ
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左=噴火によって焼失した元宮(背門丘)  右=頂上
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天逆鉾
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 高千穂(たかちほの)峰は霧島連山の東の主峰だ。天孫降臨の伝説で知られ、頂上の天逆鉾(あまのさかほこ)は建国神話の象徴であろう。ピラミッド型の山容はどこからもよく目立ち、山岳宗教や信仰で古くから人々とのつながりが深い。
 降水量はそれほどでもないが、風が13m/sあるとの予報に、行けるところまで登ることにして宿を出た。高千穂河原でバスを降りると、さっそく国立公園のレンジャーから注意を受ける。御鉢(おはち)では強風だという。登山届を提出して霧島神社古宮址に参拝。強い風にガスが一瞬切れて、御鉢の尾根を望むことができた。登るにつれ樹木が低くなり、標高1,100m辺りから荒涼とした風景がつづく。視界は50m〜100mほどだろうか。岩に付けられた黄色の目印がリードしてくれる。
 御鉢の外縁に着くと、尾根は馬ノ背になって霧島神宮元宮(背門丘=せとお)へいったん降る。鞍部は風が吹き抜けているが、上部の急坂を折り返す道ではそれほどでもなかった。ただ、頂上周辺(標高差約10mの範囲内)は立っていられないほど吹き荒れており、気温が下がったのかミゾレが顔を打つ。全員の姿を確認して、すぐに引き返した。
 休憩できる場所まで一気に降りる旨を伝え、馬ノ背を慎重に西へ進む。後は目印を頼りに灌木帯へ。休憩ののち、石畳の自然研究路を慎重に高千穂河原へ降りた。
 直径500m、深さ200mほどの御鉢は、1913(大正2)年に大爆発を起こした。東には寄生火山(二ツ石)もあって広大な裾野を形成している。地図を見ると、御鉢の火口と西側だけが鹿児島県。高千穂峰をはじめ、それ以外はすべて宮崎県に属する。火山活動による地形の変化は大きいはずだが、背門丘は霧島神宮の神域ということだろう。しかし、本来は山そのものが信仰の対象だったはずで、古くから日向(ひむか)の地とされてきた。時代が下がり、島津藩の影響があるのかもしれない(2021.5.21)。
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鹿児島空港から望む高千穂峰(左は中岳。2021年5月23日撮影)
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