探山訪谷[Tanzan Report]
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 No.67【山岳会の役割】
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 上=現場で役立つ応急処置の講習  下=受講者みんなで処置をほどこし、講師の講評を受ける
 この日は、熱中症予防と対策について、最新の研究成果に基づく講議もなされた
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 地図を読む講習では、その面白さが伝わるよう工夫されている
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 山岳会の衰退や弱体化が言われて久しい。会員は同じ顔ぶれで高齢化し、魅力ある企画や受入れ体制がないので、新しく加入しようという人はほとんどいない。現在の会員が望むことだけしていれば、新規加入者はなくてあたりまえ。ならば、会員数の増減は言わないことだ。メディアは遭難のニュースがほとんどなので、社会的にそうしたイメージが浸透し、山岳会はますます孤立する。京都府山岳連盟に加盟する山岳会(クラブ)の数も、今年は40団体を下回った。
 いっぽう、旅行社などが主催するツアー登山に多くの参加者があり、自治体やNPO主催の野外活動、あるいはカルチャースクールのアウトドアメニューはどこも盛況だ。そして、近年の特徴は若い人たちの参入が目立つことである。そうした人たちを、仲間として受け入れるスタンスやカリキュラムがあるかどうか。いま、山岳会は自らの方向を示す時期にきている。
 連盟はこうした状況に危機感を持ち、これから登山を始めようという人や入門者に扉を開けることとなった。今年から導入された「パーソナル会員」である。年会費(3000円)を納めれば、パーソナル会員向けの山行に参加できる。さらに、バラエティーに富む講習会や研修会など、年間を通じて安全に登山するための基礎を学ぶこともできる。いうなれば、社会的要請に応じて連盟がクラブを経営するようなものだ。計画の確認や山行の申込みはインターネットで簡単にできる。今後、意欲ある人は個人で連盟の会員になるだろう。
 最初は誰もが初心者である。山や自然はすばらしく、登山は面白く楽しいというメッセージがなければ人は集まらない。そして、危険やトラブルも含めて、そうした人たちのレベルの引上げが求められている(90%以上が未組織登山者)。
 ここ数年、山岳界を取巻く事柄をいろいろ経験し、山岳会や山岳連盟は個人に対してこれまで何もしてこなかったという印象を強く持った。自分達だけの世界に浸っているリーダーらは、いちど週末に六甲山へでも出かけてみたらいい。関西岩峰会・京都雪稜クラブ・京都比良山岳会など、成功している会はやはり背景があるものだ。
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