温泉で知られる由布院へ行く機会ができたので、由布岳の火口を巡ってみようと時間をとった。前に登ったときは気象条件が悪く、強い風とガスに西峰と東峰へマタエからそれぞれ往復するにとどめた。 この日は湯布院町の明け方の気温が-7.0℃になり、前日からの雪の状態が心配になって天気予報を頻繁に確認する。午前は風速12.5m/s〜9.7m/s、天気は雲の多い晴れもしくは晴天の予報で、体感温度は-20.0℃を示している。午後は徐々によくなりそうで、早く落ち着くことを願い出発。現地の積雪深とクラストの状態を見極めて決めることにした。 功徳碑の建つ南(正面)登山口から合野越を経てマタエまで登るが、気温は低いままなので雪質はとてもよい。また、風が弱まってきたので岩稜も行動できそうである。西峰から時計回りで行くことにし、手始めに障子戸の鎖場に取り付いた。 ピークから北へ進むと、灌木にエビの尻尾が張り付き、冬らしい景観に包まれる。今シーズン一番の美しさに気持ちが弾む。だが、ところどころに危険な岩場があるので要注意だ。岩稜では確実なルートファインディングが求められ、三点支持で通過する。乾いていたら問題ない箇所も、雪と濡れた岩で慎重にならざるを得ない。けっきょく、一周するのに1時間40分かかった。 下山を始めると青空が広がってきて、大崩(おおくえ)山・傾(かたむき)山・祖母山などを眺めながら西登山口の岳本(たけもと)に降り立つ。由布岳は宇奈岐日女(うなぎひめ)神社の神体山とされ、ウナグヒメにも参拝したかった。そこで、市街を迂回するように佛山寺や大杵(おおご)社(現地の表示は「杵」でなく禾偏)に立ち寄って宿まで歩いて帰る(2020.12.17)。 |