播磨の北西部に位置する三室山は、兵庫県では二番目の標高を有する山で、周辺からもよく目立つ山容をしている。11月に蘇武岳へ出かけ、鳥取との県境稜線を眺めたら逆に向こうから見たくなった。都合のつく日で好天を待っていたが、実施する時間はいよいよなくなってきた。自由になる今年最後の機会。寒気が南下して「スノーシャワー2cm」という予報だったが、午後から夜は「クラウディ」なのでそれほどの悪条件ではなさそうだ。別の天気予報サイトをみると、午前9時までの3時間を除いて「登山に適する」Aランクが示されており行くことにする。 姫路から北上するものの、南部の山々は穏やかな表情を横たえる。宍粟(しそう)市に入っても晴れ間が広がり、いい感じの展開である。ところが、千種(ちくさ)を過ぎる頃から細かい雨が窓にあたり、東河内(ひがしこうち)に着くと中腹より上部は雲に覆われていた。やはり、県境に近い地域は山陰地方と同じである。 まず、林道竹呂線から竹呂山に登る。標高1050m付近から白いものが認められた。北側の鞍部に降り、東面のブナ林を見ながら下ショウダイへ登り返す。もう一段上の中ショウダイを経て岩場を慎重に降りた。尾根の広い場所ではネマガリタケが雪の重みでたわみ、潜ったり分けたりしながら進路に手間どる。久々の藪漕ぎだ。しかし、濃密に繁茂していた若い頃とは比べものにならない密度で、1時間余りかけて三室山(ショウダイ)に達する。位置と標高の違いからか、両山の雪の量はかなり異なる。残念ながら、四周はガスで何も望めず、ただ雪景色がひろがるばかり。風に乗って雪が吹き付ける。 思いは叶わなかったが、今シーズン初めての雪の山を歩くことができ、来ただけのことはあった。気分よく三室高原へ下山し、河内川の燗鍋(かなべの/かなびの)滝や立派な中ノ宮神社に寄りながら東河内口まで歩く(2020.12.4)。 |