リクエストに応えて、熊野古道「小辺路」を2回に分けて歩く。初めは高野山から十津川村までの二泊三日である。 一日目は金剛三昧院の入口から薄(すすき)峠に向かい、御殿(おど)川へ下ったのち大滝から水ヶ峰(みずがむね)をめざす。この日の後半は高野龍神スカイラインと林道(タイノ原線)が中心なので、古道の面影はほとんどない。途中で眺望に恵まれるところが何箇所かあるため、道中は飽きることがなかった。 翌日は伯母子峠越えだ。今回のハイライトといえる区間で、大股集落の裏手から夏虫山に向けて道を折り返す。桧峠から東斜面をトラバースし、護摩壇山への分岐から伯母子岳に直接登った。頂上で360度のパノラマを満喫したのち峠に下りて古道へ復帰する。事前の情報では、落橋と斜面の崩落で山頂から尾根を下るよう示されていたが、すでに復旧しているらしい。現場の注意表示はとくになかった。 明るく広い上西家跡で昼食。周囲は見事な黄葉・紅葉に彩られている。この先から五百瀬(いもせ)まで長い下りがつづく。間に水ヶ元茶屋や待平(まちだいら)屋敷跡があって、かつての往来が偲ばれた。三浦口まで歩き、風屋ダム近くの宿まで車で移動。神納(かんの)川は水害の影響が今も残り、河道の仮設道路を走る。 三日目は三浦口の吊橋からスタートする。民家の間を登ると植林地のなかに大杉が何本も並び立っていた。吉村家を守った防風林だという。林道が通る三浦峠では北側の展望がすばらしい。かつて、茶店があった古矢倉跡から出店跡を経て矢倉観音堂まで降りてくると、西川の流れに近づいたことがわかる。最後は古道が崩落しているため迂回路をたどった。矢倉の民家の間から、西中でなく西中大谷橋へ下山する(2020.11.12〜11.14)。 |