三峠山からといし山へつづく尾根が、これほどすばらしい植生だとは思ってもみなかった。植林による単調な風景の林道を歩いてきて、分岐点から行く手を見ると葉を落とし始めた林が広がっている。なんとも好ましい雰囲気に期待が高まった。 限定的に植林地と出合うものの、552m標高点・510m標高点を経てといし山の山頂まで広葉樹の林は終わることがない。丹波の山らしいコースをたどることができて、この山域の認識を新たにした。途中には何箇所か地形の複雑な箇所があって、読図の感覚を養う意味でも優れている。ところどころに境界(村)を示す標柱が設置してあり、近世の山論(山の所属をめぐる争い)を彷彿させる。 地形図で等高線を見ると、山頂部が二つに分かれていることは予想していたが、その間に抉れた岩場があって砥石を採掘したことが見て取れる。少し下部にも同様の地形が確認できたので、どれもその跡だろうと思われた。また、北側の谷にはかつてタングステンを採掘する鐘打鉱山があった。そのため鐘(金)打山と称し、高屋川の谷筋ではまず日があたる山として日照山とも呼ばれている。端整な姿も印象に残るが、構成する内容も興味をそそる(2020.11.6)。 |