岩手・宮城・秋田県にまたがる栗駒山へ、紅葉を訪ねる計画を立てた。須川高原温泉から産沼コースで山頂に達し、湯浜(ゆばま)温泉までブナ林を下る予定である。入山・下山とも趣の異なる温泉があり、それも大きな楽しみだ。 夏から気温の高い状況がつづいているため、今年は例年よりも木々の色づきが遅いらしい。それでも、須川高原まで上ってくるとなかなか美しい景観が広がり、観望と入浴に時間が足らなくなる。 翌朝は、ガスに覆われ視界が僅かしかきかない。加えて、オホーツク海高気圧と台風の影響で、上部では強風が予想される。とりあえず出発して、1時間半後に戻るかどうかを判断することにした。自然観察路が整備されているので、こんな天気でもけっこう人の姿がある。三途ノ川を渡った上部で、計画どおりに行くことを決める。灌木やハイマツが広く分布し、風を直接受ける場所が少ないことも幸いだ。 山頂から天狗岩までも心配するほどでなく、東風の影響をまともに受ける天狗平から虚空蔵十字路までがもっとも強かった。御室へ向かう表掛登山道を左に見て尾根ルートを下る。虚空蔵山の西側に入れば風も弱まり、あとは傾斜の緩い等高線の道を下るだけになる。上部は湿地帯で木道を慎重に歩く。標高1,000m辺りを中心に黄葉が美しい。ぬかるみが多く時間もかかる。相ノ沢から白桧沢にかけては、まだまだ緑に包まれていた。 最後は山ノ神を見て、ランプの宿として知られる湯浜温泉(三浦旅館)に下り着く。宿では、マタギの生活・習俗と温泉のことをいろいろ聞かせていただく。昨日のアプローチも含め、栗駒山の大きさを何より実感するコースだった。 天候に恵まれなかったので、機会があれば花の季節にも登ってみたい(2020.10.10、須川高原温泉=10.9、湯浜温泉=10.11)。 |