十和田湖周辺の山を登る計画だったが、交通機関の減便で難しくなった。そこで、奥入瀬渓流を上流から歩いて楽しむことにする。車窓では見ることができない見どころも多く、増水した流れとともに迫力ある景観を堪能した。 霧雨の十和田湖畔(子ノ口)から遊歩道に入ると、水辺にトリカブトが咲き乱れ巨木も目につく。本流に懸かる銚子大滝は川幅いっぱいに水を落とす。支流はどれも滝で合流し、九段ノ滝・白絹ノ滝・玉簾(たまだれ)ノ滝などを両岸に見る。雲井ノ滝を見るためいったん道路に出るが、再び川筋を飛金の流れから九十九島・阿修羅の流れに進む。馬門(まかど)岩を過ぎると、ほどなく石ヶ戸(いしげど)に着く。「鬼神のお松」の伝説が残り、カツラの木に寄りかかる岩(岩屋)がある。雨が降りつづいているにもかかわらず岩の下は乾いていた。現在は近くに休憩所があって、散策の拠点になっている。 蔦温泉で宿泊した翌朝。最大の蔦沼をはじめ沼めぐりに出かける。七つある沼のうち、六つを周回できるよう道が整備されていた。紅葉で知られるエリアだが、落葉広葉樹林と緑に染まる水面が美しい。最後に、十和田の魅力を書きつづけた大町桂月の墓にも立ち寄る。旅館には多くの資料が展示してあった(2020.9.14〜9.15)。 |