日高山脈にある幌尻(ポロシリ)岳・戸蔦別(トッタベツ)岳登頂の願いをやっと叶えることができた。 40年ほど前に、カムイエクウチカウシ山からピパイロ岳まで、沢と尾根をつないで登る計画を立てた。十勝側の札内(サツナイ)川から入山し、八ノ沢カールで泊まった翌日から雨が降りつづく。どうにか、カムイエクウチカウシ山とピラミッド峰に登って下山すると北海道内は水害に見舞われ、道路と鉄道が各地で寸断していた。 その後も日高には何度か足を運んだものの、この二座は未踏のままだった。そして、年月がたって「百名山」ブームの到来とともに関心は遠のいていった。 一般的な額平(ヌカビラ)川と新冠(ニイカップ)川の2コースが今夏は入山できないことを知り、静かな山を楽しむにはうってつけだと気づく。事情がわかると急に行ってみたくなり、千呂露(チロロ)川から2日で往復することにした。 これまで、日高の山行で展望がよかった例はない。そこで、今回は天気を最優先に判断するつもりだ。春の時点で8月上旬を予定したが、この夏もその時期は雨天が連続する。本州で夏型気圧配置の強いときは、北海道は天気に恵まれないことが多いようである。 いくつもの天気予報を使って日程を決め、出発前日に準備を始める。往復の交通を含め4日間の計画で、宿や車を手配した。6日間の推移がわかる “Mountain Weather Forecasts” と、3日間の雲量・雨量・風向・風速・気温などが予想できる “SCW” は、もっとも頼り甲斐のある気象情報サイトだ。あくまで予測なのではずれる場合もあるが、一般的な天気予報よりもその変化が理解しやすいので重宝している。しかも、誰でも無償で使えるところが嬉しい。 上の写真は8月18日早朝の幌尻岳から眺めた風景で、360度の大パノラマに浸る。人の姿がない頂上は、期待どおりのひとときになった。長い間、頭の片隅でくすぶっていた日高山脈最高峰。会心の山行はこうして実現できた。 山容と特徴的な景観を下に載せておこう。入下山の基地になる日高町には『日高山脈博物館』があって、山域の概要と登山の変遷を掴むことができる。ぜひ、立ち寄りたいところだ(博物館=2020.8.16。他は8.18)。 |