山行の行き帰りに時間があったので、以前から気になっていた市立大町山岳博物館と仁科神明宮に立ち寄った。 山岳博物館は「岳都おおまち」を象徴する建物だ。余裕があれば展示も見たかったが、一番の目的は付属施設の山岳図書資料館に行くことである。ここは長野県山岳協会の寄贈資料をベースに、約35,000点の書籍・パンフレット・地形図・写真・映像フィルムなどを収蔵している。目録は公式ウェブサイトに掲載してあり、調べたいものは事前に把握できる。今回は概要を知りたいだけなので直接出向いた。鉄骨造の2階建で、利用申請書に記入して職員立会いのもと入館する。個人の蔵書も寄贈され、『横断山脈研究会』でたいへんお世話になった松本征夫*先生の書架もあった(*「坊がつる賛歌」作詞者のひとり。「征」は行人偏に正を上下に重ねる)。 仁科神明宮は市の南東部にあたる社(宮本)にあって、日本最古の神明造の社殿は国宝に指定されている。室町時代の様式を伝える江戸初期の建築だが、600年以上にわたる式年遷宮の棟札はすべて残されているという〔永和2(1376)年〜安政3(1856)年の27枚は重要文化財〕。巨杉の立つ境内は好ましく、静かなひとときを過ごすことができた。千国街道(「塩の道」)が集落を南北に通り、落ち着いた町並みも美しい。帰途は高瀬川に架かる宮本橋を渡って「安曇沓掛」駅まで歩く。なお、山岳博物館に近い松崎にも神明宮があり、この地の信仰の歴史をよく表しているように思われた。 もうひとつよかったのは、「信濃大町」駅から大町市内を周遊するバスである。郊外の田園や見どころを繋ぎ、地域性が感じられる時間を過ごすことができた(2020.7.29/8.1)。 |