比良山系の南主稜から、琵琶湖側へ降りる最も安定している道はキタダカ谷だ。他の道が上部から谷筋主体の不安定なルートなのに対し、標高750m付近の天狗杉までは尾根を通る。その下は標高450m近くまで山腹を折返し、曲がり角には水捌けをよくする造作がなされている。さらに、山麓にかけて谷筋に敷設された林道も水流から離れており、何かあった時の頼りになる道としてよく利用してきた。その道が近年の大雨と台風で荒れていたが、倒木の整理作業が終わってからは以前と変わらない安定度を維持している。 久しぶりでクロトノハゲから下山すると、尾根上で道を塞ぐ倒木が一本あった。問題になるほどでなく、順調に谷へ降りると流れ出した土砂が林道を埋めていた(クロトノハゲから40分)。ここしばらくの雨によるものか、表土は水を含んで靴がめり込む。下部の砂防ダムまで100m以上にわたって堆積しており、しばらくは注意して通過する必要があろう。 いっぽう、木戸峠からクロトノハゲまで中谷左俣の源頭をトラバースする道は、ガレと斜面の崩落で通行困難になっている。最新のガイドマップでは表記そのものが削除されているものの、現地の道標は以前のままだ。かつての縦走路は、打見山山頂から打見道場・クロトノハゲを経て木戸峠につづいていた。展望のよいガレや岩場にオオイワカガミが群生するコースは、打見山の特徴を端的に表している。 チェックを兼ねて歩いてみたが、ガリーやルンゼ状の支谷にかかる橋が一ヶ所を除いてすべて通過できない。やはり、スキーコースを登って迂回するのが妥当であろう。気に入っているこの道の復活を、実現させる手立てはないものだろうか(2020.7.12)。 |