梅雨のわずかな晴れ間を利用して、比良の白滝山をあちこち彷徨ってきた。秋の案内に備えてコース状況を確認しに行くつもりだったが、せっかくなら山上の池や湿地を訪ね歩くのも悪くないなと考え直した。 気象庁をはじめ、この日の天気予報はどれも登山に適さないことを示している。だが、よく利用している “Mountain Weather Forecasts” は昼間の好天を予想しており、それを信じて急遽早朝に準備を始めた。このサイトの長所は、気象変化の兆候が早く発信されることにある(3時間ごと)。悪化する場合も同様で、とくに積雪期の風と雪・氷結レベルは行動の判断をする上で重宝している。 ハンゲショウが咲く坊村を出発。轟音の響く明王谷からワサビ谷を登って山頂に達し、蓬莱山につながる尾根とその周辺を歩き回るつもりだ。雨で水量が増えた谷は迫力があり、緑に包まれた景観はこの時期らしい。オトワ池から南に点在する池や湿地も水が多く、畔の木々にはモリアオガエルの卵塊がいくつもぶら下がっていた。地形図から判断して池がありそうな場所には、確認するために行っては戻る行動を繰り返す。お蔭で11箇所のそうした地形を見ることができた。1080m峰(「森山岳」)の手前からオオカメ谷方向に進み、ジャガ谷を徒渉して送電線の巡視路をシル谷へ出た。 湿地の周辺では、各所で大きなバイケイソウが霧の中に花を浮かび上がらせている。美しい光景が次々と現れ、朝の思いつきは充足感で満たされた。標高900m辺りから上部は残念ながら晴れることがなかったものの、雨に降られることもなかった(2020.7.12)。 |