探山訪谷[Tanzan Report]
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 No.582【大宮川を探る】
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@A――中流に懸かる二段の滝(@は上から見たもの。Aは下流から)
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B――大宮川の起点標石
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C――神蔵寺を示す地図(提供:笹川博司氏)
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D――神蔵寺跡近くの流れ
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EF――悲田谷出合(E=右手から合流するのが悲田谷。F=下流から大宮川上流を見る)
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G――本流屈曲部に懸かる3mの滝
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H――二条に分かれる滝(右=4m)
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I――ナメ状の3m滝
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J――大岩を挟むナメ状の3m滝
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K――大きな淵(下半分は土砂に埋まる)
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 大宮川は横川(よかわ)の龍池(正しくは香芳峰)を水源として琵琶湖に注ぎ、比叡山延暦寺や日吉大社と深く結びつく川である。名称は日吉大社西本宮の前を流れる意で、淀川水系の1級河川だ。近年の改修工事で下流は足洗川(あしあらいがわ)と合流し、比叡辻の北側で琵琶湖に流入する(旧河道も分水して下阪本で流入)。上流では本流と同規模の地主谷(じしゅだに)が西へ分かれ、源頭は地主権現社が祀られる横高山。中流の北谷は最大の支流で比叡山北東面の水を集める。
 興味深いのはその下流である。神蔵寺(じんぞうじ)に因む神蔵之瀧(かみくらのたき)がどこにあるのか、以前から疑問を抱いている。神蔵ヶ滝(かまくらがたき)とも呼ばれ、衣掛岩の上流で高さが10mほどあると伝わる。また、悲田谷との合流点にはかつて藤ヶ滝が懸かっていたという(EF、GはFの下流)。
 確かにこの付近の地形は険しく大きな水音を響かせているが、どれも数メートルの段差ばかりで決定づける要素に欠ける。少し下流へ行けば神宮寺趾から降りることができるため、その辺りのナメ状の滝が該当するのではないかと考えている(HIJ)。なかでも、写真Jは落差こそ小さいものの長さが10m近くあるので候補になろう。文献にはその川辺で神事が行なわれているとするものがあり、郷土の歴史をさらに詳しく調べたい。写真Kを過ぎると、取水口があって周囲は開けてくる。既に日吉大社境内のため下流への入域は遠慮しよう。
 いっぽう、『近江輿地志略』(享保19=1734年)では「神藏山にあり。歳旱するときは必雨を祈る」と記され、少しニュアンスが異なる。写真@Aは神蔵山に近い滝を撮ったもの(上段=2.5m、下段=1m、ナメ状、L=6m)。写真BDは神蔵寺跡付近で、河川の起点も置かれている(Cは旧跡を示す地図)。
 以下の写真は日吉大社境内の様子である。飛龍之瀧(ひりゅうのたき)はよく知られたもので、「日吉三橋」と呼ばれる大宮橋・走井橋・二宮橋は羽柴秀吉の寄進と伝わる石橋だ(LMNOP)。その後は、坂本の旧市街の北側を迂回気味に流れ下る。
 →衣掛岩・神宮寺趾
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L――極楽橋の上流に懸かる飛龍ノ瀧。霧降ヶ滝(きりふがたき)とも呼ぶ
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M――大宮橋
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N――走井橋
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O――二宮橋
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P――日吉大社と芙蓉園別館の間を流れる大宮川
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