今年2月の鶴嘴(つるはし)山で眺めた「寝釈迦」の山稜を、晩秋の景観を楽しみながら足から頭に向けて歩いた。近年は、新宮と龍野の一字をとって「新龍アルプス」と呼ばれている山稜だ。 播磨新宮駅を起点に、水布弥(みずふね)登山口から入山して祗園嶽に登り、亀(きの)山の城跡を訪ねながら的場山まで縦走する。時間的に余裕があれば、鶏籠(けいろう)山にも登って上霞城へ下山する計画にした。ただ、起伏の大きいコースは時間がかかり、記録を見ても6時間前後のものが多い。冬至の頃なので日暮れは早く、帰途の時間的制約があるため現地での判断で対応することにした。 眺望のすばらしい祗園嶽の岩場からは、龍野・宍粟(しそう)・姫路の山々が数多く頭を覗かせている。北方の高い山は揖保川上流域で、北東方向は神崎郡に跨がる山域である。なかでも、ピラミダルな明神山がよく目立つ。東から南東方向は瀬戸内側の山が折り重なって見える。 城(きの)山城跡の曲輪・堀切・土塁・石塁・井戸などを、説明標識を確認しながらたどるが、地形を生かした構造を見てよく築城したものだと感心した。古代の城跡に中世(赤松氏)の城が重なる。的場山まで来ると海が近づき、家島諸島の男鹿(たんが)島の上に鳴門海峡を望むことができた。 鶏籠山との鞍部へ急坂を下ると午後4時になった。「近畿自然歩道」を紅葉谷から市街地へ出て、醤油の薫りを感じながら本竜野駅に向かう(2019.12.24)。 |