中国山地東部の那岐山(なぎさん・なぎのせん)は、スケールのあるゆったりした山容が人気の山だ。伊邪那岐命の降臨の地ともいわれ、また修行に関連した岩が山中に点在する。日帰りではややきついので、鳥取側から岡山側へ横断し、一泊して後山山系にも足を延ばす計画にした。登山者の多くは南の奈義町から訪れるが、山陰側の樹林をぜひ歩いてみたかった。周辺の山名には「山」を「せん」と称する場合が多く、「仙」で表すケースもある。 京都から直通の特急を使えば、智頭駅まで比較的短時間でアプローチが可能だ。奥本から入山したが、あまり登られないのか林道は荒れていた。車を降り少し歩いて登山口に達する。滝を見ながら尾根に取付き、東仙コースに合流するとブナやミズナラの美しい林が広がっていた。途中に植林地もあるが、葉を落とした登山道はこの季節らしい空気に包まれている。 県境稜線にたどり着くと笹原になり、周囲の展望が一気に広がりすばらしい。蒼穹のもと頂上では360度のパノラマを楽しむことができた。最高地点から三角点峰(三等)は山上のプロムナードで、心地よい稜線歩きができる。 下山は大神岩から蛇淵ノ滝に出て、那岐山麓山の駅がある山野草公園まで歩いた。山麓の紅葉が一段と美しい(2019.11.23)。 |