円山川の支流である糸井川はホタルの舞う川として知られるが、古くから金を産出した水系でもある。渓流には滝が懸かり川床には甌穴も見られる。そうした景観も楽しもうと欲張って歩き回った。 登山口に立つカツラの早緑を眺めてから東床尾山・西床尾山へ登り、「らかん口」へ下山する。道中の谷筋には、精錬所跡や坑道跡が残って往時の生業を伝えていた。ムラサキサギゴケ・ヤマルリソウ・キランソウ・オオカメノキ・タニウツギの花があちこちで咲いている。いちばん目についた花はメノマンネングサで、水辺や林道の石垣などが黄色で埋め尽くされていた。花期ではなかったものの、群生するヤマシャクヤクにも出会った。「床尾(とて)ノ三滝」(一ノ滝〜三ノ滝)に立ち寄り、このエリアの地形や地質を確認する。周辺にも鉱山がいくつも点在していたようだ。流域最奧の集落である和田山町竹ノ内に入ると、日本で記録に残る最古の隕石が落下した地点に石碑があった。往時の人たちの驚きは大変なものだったと思われるが、この地域は鉱物と岩石によほど深い関わりがあるようだ。 美しい山村・農村の風景を見ながら、高生田(たこうだ)城跡の麓を「和田山」駅めざして歩く。正面の大倉部山がどんどん近づき、円山川を渡ると町に入った(2019.5.12)。 |