宇陀市の菟田野区にある大師寺は、幕末の石工=丹波の佐吉(村上照信)による石仏群があることで知られる。四国八十八所を模したミニ巡礼道があり、大師像とともに山中に祀られている。その東側に入谷(にゅうだに)山があって、なかでも嶽山は展望に優れる。周辺の最高峰である見山(みやま=岳山)も一緒に歩こうと計画した。 寺の入口にある第一番(霊山寺釈迦如来)を出発し、庚申と彫られた標石から尾根を東に進む。入谷山手前の尾根の南直下には奥宮社が祀られ、磐座が朱塗りの柵で囲まれていた。ここは菟田野大神にある神御子美牟須比女(みわのみこみむすひめ)神社(式内社)の奥宮と思われ、大神神社との関係も深い。嶽山の標高610メートルには「嶽 区民の森」の展望台があって北面のパノラマが展開している。台風の被害跡を整備して桜が植えられ、今では花期に多くの人で賑わうようだ。東吉野から大宇陀周辺、榛原から三郎ヶ岳にかけて山々の景色が広がっている。樹木の間には二上山の一部や遠く生駒山の山稜も横たわっていた。 嶽山の南面が開かれ大峰の山なみも眺められる。残念ながら、標高の高いエリアは雲に隠されていた。烏ノ塒屋山も目立つ。せっかくなので、見山の三等三角点(円覚寺)を往復した。 展望台まで戻り、あとは名前の付いた奇石群を順番に訪ねる。蛇石は、元は蛇のように長い姿だったようだが、現在では樹木が成長してその一部しか見ることができなかった。同じような石が各所に点在するため、唐戸の寝石を見つけるのに時間がかかる。 バスの時間があったので、内牧川に沿って旧道を歩けるところまで歩いた(2019.2.8)。 |