京都再発見のトレッキングで、宇治田原町の信楽街道を歩いた。裏白峠を挟んで朝宮(甲賀市信楽町)とつながる道で、現在は国道307号が通っている。その南側には旧道があって、鷲峰山から流れる小規模な谷と尾根を越えながら中心部の郷之口につづいている。今回は最東部の奥山田地区(旧茶屋村)にある遍照(へんじょう)院を出発地点に贄田(ねだ)までを行程にした。 この道は、「本能寺の変」のあと徳川家康が三河へ急ぎ戻る際に使った伊賀越のルートとされ、遍照院で休憩したともいわれている。入口で手入れされた紅梅や庭を眺めていると住職が出てこられ、本堂を開けてくださった。また、墓地にある古い形の無縫塔も説明していただいた。 茶畑になったルートを迂回して、猪目窓(ハート形)で有名になった正寿院の前を通る。訪問者が多いのかタクシーが待機していた。松峠を越えると茶畑が広がり、雪を纏った比良の山なみを望むことができる。宇治田原茶発祥の伝承地(大福谷)の分岐で、碁石坂へ降りずに峠を越えると永谷宗円(緑茶の製法と販路を確立した)の墓へ向かう小径が東の山手へ分かれる。表示は何もされてないが、目星をつけてきたので急坂を登ると尾根が緩くなる地点に墓石があった。 道に戻って下り切ったところが茶宗明神社で、改修された生家も残されている。中山寺があったとされる赤ヶ尾には行かず、湯屋谷から黒豆坂へ登り返す。田原川からの入口が判り難い。道そのものはよく踏まれた旧道らしい雰囲気に包まれていた。その後、金胎寺参道と合流して大道(おおみち)神社・大道寺・信西(しんぜい)入道塚に寄りながら立川を経て贄田のバス停に出た。道中に製茶場が点在し、雨に降られたものの香ばしい茶の香りを嗅ぎながらこの土地らしい景色を堪能することができた(2019.1.15)。 |