「雪山2年生」向の山として、今年5月の連休は唐松岳へ出かける。昨年の八ヶ岳とは様相が異なるので、ステップアップを実感できる山として選んだ。荒天で行動できないことを考慮して、1日停滞することも計画に盛り込む。ところが、行動予定日が2日とも悪い予報で、まったく動けない状況も想定された。そこで出発を2日遅らせ、連休の期間中に終えるよう日程を短縮する。 ゴンドラとリフトで八方池山荘へ向かう日は雨も降ったが小康状態。白馬岳の稜線は雲がかかったり姿を覗かせたりしていた。 翌日の天気は回復傾向だが、山頂付近で風は午前中が23.6m/s(85km/h)、標高2000m付近でも16.6m/s(60km/h)との予報に、登頂の可能性は微妙である〔午後はそれぞれ18.0m/s(65km/h)と15.2m/s(55km/h)〕。早く好転することをひとえに願って山荘を出た。前日から明け方までの新雪が3〜15センチほどあり、強風でしばしば地吹雪になる。丸山ケルンのもう一段上部まで登ったが、無理はできないと引き返した。この日に登頂できたのはエキスパートだけだろう。小屋まで戻ると、リフトとゴンドラはすべて運転を停止。歩いて下山せざるを得ない事態になっていた。 次の日の午後は帰途につかなければならないので、日の出とともに再度挑戦する。早朝まで強風が吹き荒れていたものの、徐々に弱まってやがて微風程度になった。アウターを着ていると汗をかく暑さで、風に応じて脱いだり着たりを繰り返す。二人の登高ペースが落ちて、けっきょく5時間近くかかって山頂にたどり着いた。二等三角点からは360度の大パノラマ。剱岳が近い。短時間ながら、見事な眺望をみんなで満喫した。 前日の厳しさと苦しさ、そして登頂した日の美しさとすばらしさを体験してもらい、企画者として胸を撫で下ろした。彼女らにとって、積雪期ゆえの失敗があり課題も明らかになった山行だったが、いろいろな経験を積み重ねることで自信や安全につながるものと信じる。辿り着いた者だけが知る山頂からの眺望は、その魅力を伝える要素のひとつだ(2018.5.4〜5.6)。 |