淡路島の津名丘陵にある常隆寺は、「じょろっさん」として親しまれる古刹である。今は門前まで車で行けるが、旧道を歩けないものかと計画した。久野々(くのの)の集落は丘の上にあって、丁石のある登山口から出発する。ところが、歩かれなくなって久しい道はあちこちで倒木や崖崩れがあり、取付付近は一般向といえる状況ではない。うろうろしていると再奥の民家の方が出てこられ、お話を聞かせていただいた。南へ一直線に向かう道は古い旧道で、東側に迂回しながら登るルートが新しい旧道のようである(現在はその東側に車道がある)。尾根に乗ると掘り込まれた道がよく残っていた。 寺院がある山上は常緑広葉樹が天空を覆い、「伊勢ノ森」と呼ばれるだけのことはあった。三等三角点のある常隆寺山からは海を望むことができ、近くに魚霊塔が祀られている。やはり、島の人々の信仰を集めただけのことはある。 妙見山には南東方向へ自然研究路を行く予定だったが、道の状態が悪くて道路へ迂回した。大塔峠から再び登り返して妙見宮へ向かう。この間は小型の四輪駆動車なら通れそうな幅員がある。月ノ山観音からの道と合流すると妙見宮は近い。 下山は、小井(おい)からの古い参詣道を利用する。一部で倒木と土砂崩れがあったものの、よく踏まれた道が海に向けてつづいている。竹薮を抜け出るとビロウかシュロの立つ暖かい風景が広がっていた。帰途の高速道路からは対岸にある六甲の山々と神戸の街が見えて、これまたすばらしいひとときが過ごせた(2018.2.27)。 |