『分県登山ガイド 滋賀県の山』(山と溪谷社 2017年)で紹介した飯道山に行く機会ができた。取り上げたコースと同じ道をトレースするのだが、昨年の取材時には幾つか気になることがあった。ひとつは飯道神社本殿が仮殿に遷座していたこと。もうひとつは足場の悪い左羅坂(陀羅坂)に別ルートが開かれていたことである(そのほか、三大寺林道の延長コースもある)。 講座のみなさんにとっては暑さ厳しい一日だったかもしれないが、私はいろいろ確認することができて実り多い山行になった。 国指定の重要文化財である本殿は慶安二(1649)年の建立で、檜皮葺の入母屋造。千鳥破風と唐破風がついた建造物は、飾り金具が多用され華麗な姿で鎮座していた。竣工してから時間があまり経っておらず、まとまった人数の参拝は神社の方にも喜んでもらうことができた。 案内書の誌面で取り上げている左羅坂は、浮石の多い谷筋が年々歩き辛くなっている。そのため、林道で下りることも想定していたのだが、距離が長くなるため参加者の了解を得てからしか選ぶことはできない。ここに示した尾根ルートは、傾斜はあるもののスタンスが安定していて従来の谷コースよりはるかに歩きやすかった。杖ノ権現茶屋休憩所から下山する場合は、林道で送電線の下まで行って尾根に入れば間違いなく下れる。また、逆に登路とした場合は左羅坂との合流地点から少し上部で尾根に取付けばよい。尾根道と林道との分岐は何もなかったが、左羅坂の道には簡易の標識が付けられていた。現況から判断すれば、今後は多く利用されるのではないかと思われる。 最後に、誌面では取り上げなかった「行場めぐり」の写真を掲載しておこう。「近江の大峯山」といわれるだけあって、幾つもの岩場が山上に散らばっている。この日は霞がかかって遠望は得られなかったが、本殿の背後には比叡山を遥拝できる岩もある(2017.7.16)。 |