花の名山として知られる佐渡ヶ島の山へ、シラネアオイが咲く時期に行きたいとこれまで思ってきた。そこで、往復の交通に各1日と島内で2日の山行を計画する。大型の動物がいないこともあって、多くの花が見られることを期待し直江津港から高速フェリーに乗船した。 行動は、標高838mの石名天然杉群がある和木(わき)登山口から入山し、主稜を南下してタダラ(タタラ)峰(ドンデン高原)のドンデン山荘に一泊。翌日はマトネ(笠峰)を経て金北山までさらに縦走し、ブナ林が美しい横山登山口(標高180m)へ下るコースを設定した。 天然杉遊歩道を歩き始めると、シラネアオイが幸先よく迎えてくれる。オオイワカガミの群生地があるかと思えば、道の両側がカタクリで埋め尽くされたり、チゴユリが一面に咲いていたりと、主役が次々に変化して道中を飽きさせない。芝尻山を過ぎてからは樹林帯が限られ、見晴らしのよい縦走路になる。初夏の花であるレンゲツツジが咲き始めていた。この日はガスに覆われたり晴れたりだったが、荒天のときは困難な行動を強いられるはずである。2日目も天候に恵まれ、多くの花を愛でながら歩みを進める。最後は窪地を残雪が埋め尽くし、迂回しながら金北山の山頂に達した。 檀特山(だんとくせん)・金剛山・金北山を「大佐渡の三霊山」と称すようだ。それぞれ、檀特山大権現(大日如来)・金剛山津神大明神・金北山大権現(勝軍地蔵)が祀られており、古くから島の人たちの信仰を集めている。江戸時代には出羽三山のように「三山(みやま)駈け」の風習があり、明治維新以降もつづけられたという。天気に恵まれ、お蔭で我々も三山を巡ることができた。 以下に道中で出会った花を写真で紹介。概ね道順に掲載し、5月27日の海辺で見られたものも取り上げる。想像を超える花の種類と量に、参加者全員が大満足の山旅だった。機会があれば、秋にも出かけてみたいものである(2017.5.25〜5.27)。 |