暑い7月に入って、登山講座で水遊びを計画した。行き先は湖西の百瀬川である。草川啓三さんの『近江 湖西の山を歩く』(ナカニシヤ出版 2004年)を読んで、「沢歩き」として相応しいのではないかと考えた。ところが、実際に行ってみると滝こそないものの連続する堰堤の高巻きとルートファインディングは「沢登り」のレベルで、予定時間いっぱいの行動に計画の甘さを痛感させられた。 石田川との河川争奪で知られるこの川は、荒々しい景観を随所で見せている。ルート上では崩れた擁壁や堰堤も多かった。『京都北山と丹波高原』(森本次男著)に載った写真からイメージをながらく膨らませてきたが、大規模な砂防工事と堰堤の多さから、これまで避けてきたのも事実である。行く気にさせてくれた前述の案内書だったが、ここは著者のキャリアを考えるべきだった。行動中は安全を考えてロープとスリングを何度もセットし、参加者のみなさんにとっては、普段の講座にない経験をしてもらったように思う。谷から尾根に出る区間では、コアジサイを握って登るヤブコギもあった。 道中で見られた草花や眺望がアクセントを添えてくれ、充実した一日になったものの問題を抱えて終了。講座でこの水準の登山は行なうべきでないと反省している。 |