この春に指定された「京都丹波高原国定公園」。芦生をはじめ八丁平・八丁・若丹国境尾根など、自然環境に優れた山と地域が注目を集める一方、それ以外では目立った動きが見られなかった。実際、昨年行なわれた「パブリックコメントの実施結果」をみても第3種特別地域と普通地域にかかわる意見は無いに等しく、回答も抽象的な表現がなされただけである。 だが、北山杉の林(景観)も大きなテーマであるはずだ。総面積68,851ヘクタールのうち、98.1%が私有地という国定公園で、歴史と文化が織りなす景観要素を保全するのも重要ではないか。 上の写真は、「京都一周トレイル京北コース線」の滝又ノ滝へ行く途中に出現したゲートである。美しい渓流と樹林のなかに建つあまりに陳腐な入口。「滝又の石佛」と彫られた先には、十体近くの石仏が岩壁を刳り貫いて安置されている。道などは未整備でまだ入ることができないものの、国定公園の理念と相反する風景に出合って我が目を疑った。手前に地主による標識があるものの、単に地主の信仰・宗教観だけで造られたとは思われないし、なにより地権者の了解を得たうえでの国定公園指定ではなかったのか(2016.5.5)。 |