播磨には低くても岩場を発達させた山が多い。そんななかで、雪彦山はスケールの大きさが他の山とは違い、昔からロッククライミングの場として知られていた。我々の若い頃は関西有数のルートを持つゲレンデとして賑わったが、昨今のムーブメントからは取り残されて静けさを取り戻している。 一般の登山者にとっては、その山容が魅力なのだろう。既に行った人も多数あったが、希望が多く計画してみた。もとより、岩のルートは難しいので地蔵岳周辺には入らず、大天井岳から三辻山・鉾立山の三山をめぐる一般コースを歩いた。このところ、ルートファインディングと岩場の登り降りを講座に取り入れているが、少しずつステップアップしている印象である。岩稜ではストックは誰も使わず、手足の支点で行動できていた。次の夏にあれこれ計画している方も多いので、体力と技術面でもう少し力をつけて欲しいと願っている。 国土地理院の地形図では、四等三角点(点名=雪彦山)のある三辻山を雪彦山と表記している。だが、登山界では洞ヶ岳(大天井岳・不行岳・三峰岳・地蔵岳)を指す場合が多く、南方の七種山と明神山を含めて言われるケースもある。修験道との関連も考えなくてはならず、定義の確定はなかなか難しい。また、三辻山も峰山高原につづく稜線上の961.5m峰に同じ山名があり、こちらも変遷の歴史を含めて調べる必要を感じる。現在は地元の行政なども巻き込んで、呼称が混在している。岩場だけでなく、新たな課題を与えられた山行になった。 |