2004年の台風21号で大きな被害を受けた宮川水系。「日本三大渓谷」のひとつとして知られる大杉谷の登山道も例外でなく、その後は地元の努力で少しずつコースが延長されてきた。この春に全面開通(宮川第3発電所〜日出ヶ岳)し、今年はちょっとしたブームの様相を呈している。台高山脈の山と谷によく通っていた時代からかなりの年月が過ぎ、様子を知りたいこともあって、リクエストに応じてさっそく企画した。11月下旬が交通機関を使ってアプローチできる期限なので、紅葉の時期を考えて11月5日〜6日の1泊2日で実施した。 吊橋や鎖が各所に設置されて多くの登山者を受入れる方向だが、岩場をへつりながら遡るコースにはいたるところに危険が潜んでいる。一歩間違えば数十メートルの滑落や転落が予想される場所は何箇所もあり、流れで身体を持っていかれそうなところも目についた。とくに、雨天や増水時の行動は慎重さが求められる。一般登山者向というより、沢登りや岩場の基本技術が必要なコースだといってよい。 大台ヶ原を取り巻く谷は、スケールの大きな渓谷美と水量豊かでダイナミックな迫力が魅力である。ステップアップして、ぜひ探訪してほしいものだ。 |