一日で3000m峰に登る危険性をあらためて認識した。25名ほどのパーティで3名に高度障害(急性高山病)が発生したからである。幸い初期症状は比較的軽く、持参していた薬*で対処できたため、緊急を要する事態にはいたらなかった。ただ、一人は薬の飲み合わせで思いもかけない展開になり、こちらもその夜は動悸が止まらなかった。 富士山の登頂ツアーでは、3割ぐらいのリタイアが出るらしい。夜間に登る御来光ツアーでは、登頂率が4割程度だとも聞く。だから、日程をゆったりとって登頂率の高さを訴えるものも人気がある。 今回は木曾の御嶽山だが、初めて2300mを超える高山を経験する人にとって、高度に対する順応力がどうかを知る意味でよい経験をしてもらえたと思う。昨夏の西穂山荘での宿泊と、今回の二ノ池本館では500mの標高差があり、睡眠時の環境と滞在時間がおおいに影響を与えたと考えられる。翌日に剣ヶ峰(3067m)へ登り、賽ノ河原から摩利支天山を経て下山する頃にはすっかり元気を取り戻し、自信につながったようだ。 体力のない人は、心肺機能に大きな負荷がかかる。そのため3000mでの活動を想定するなら、1時間あたり400mが登れる体力を普段から維持しておきたい。
*「ダイナモックス」(アセタゾラミド)・「救心」(◎一般には市販薬のこちらがベター) |