マラソンやジョギングがブームと言われて久しいが、野山を駆け巡るトレイルランニングの愛好者も多い。「京都一周トレイル」を歩くと必ず出合うし、登山道具の店にはその種の用具がかなり並んでいる。長距離トレイルが各地に誕生して火がついたのか、1年間でそれらを順番に走破する動きも盛んだ。
山登りとは異なる世界だが、同じフィールドを使う人たちの動向も知っておきたい。ネットで検索すると、専門のサイトなどかなりの数が画面にピックアップされる。なかには、六甲全山縦走の往復という大会や数千人規模のものもある。
初めて「京都一周トレイルラン」にかかわって、イベントのノウハウなどを学んできた。前日の前夜祭では、まず走り方やマナー、そして装備・服装の講議があった。専門家によるテーピングの実習も含まれ、最後は立食形式でそれぞれの健闘を誓いあった。当日は開会式のあと、雨のなか80名を1グループにして3分間隔でスタート。約900人が出走するのに30分以上を要した。年齢層は若く、集合場所では登山と異なる雰囲気が漂っていた。時間記録をねらう人もあれば、全員で楽しく走ろうというグループもあって、参加する意図はそれぞれである。
嵐山から鞍馬まで、30kmの西山・北山西部コースを、早い人は3時間30分をきっていた。スズメバチによる迂回措置がとられたため、距離が9.5km延びて最終フィニッシュは9時間近くかかった(途中棄権者を除き、全員制限時間内の完走)。そして、みんなで讃えあうゴールもよかった。登山文化を考えたとき、山岳界に足りないものを垣間見た気がする。 |