大分市・別府市・由布市にまたがる高崎山(四極=しはつ=山)は存在感のある山だ。別府湾の傍に峙ち、ニホンザルの生息地としてよく知られる。これまで訪れる機会がなかったので、大分からの帰途に寄り道して登った。 瀬戸内海国立公園のエリアに含まれ、大分市のハイキングコース(「高崎山セラピーロード」)が整備されている。コースは田ノ浦から南登山口に向かい、山頂を往復したのち南の柞原(ゆすはら)八幡宮を経て参道を西大分へ下るつもりだ。 五社社・疣地蔵を経て清心寺(身代不動尊)への道路を登ると、動物を追う大声と銃声が聞こえる。害獣の駆除か、はたまた猿の群れがいるのだろうか。標高370m付近には、自然環境を守るため背の高い柵が設けられていた。ゲートを開閉してエリア内に入る。 車道の終点にある南登山口から緩やかな道を折り返すと、大きな木が点在する開けた山頂(曲輪跡)に着いた。途中には、大友氏によって大規模に築かれた中世の山城跡が説明板とともに次々と現れる。登りは大手道を使い、竪堀を横断しながらセラピーロードを下山した。海際に屹立する立地は、山城に求められる要件をすべて満たしているのではないだろうか。これまで知らなかった高崎山の一面に触れることができた。 柞原八幡宮は豊後国の一ノ宮で、二葉山(八幡柞原山)に鎮座する。地域の信仰の中心である。スギやクスノキ(天然記念物/胸高幹周=18.5m)の巨樹も見事だったが、緑濃い社叢の広がりと旧参道の石畳を歩いて、その歴史を感じた。訪ねただけのことはあった。離れて建つ鳥居から広大な社領が想像でき、祓川左岸の大鳥居とお旅所を見て「西大分」駅に着く(2025.10.30)。 |