三徳山(みとくさん)三佛(さんぶつ)寺にある投入堂(なげいれどう)は、「日本一危ない国宝」と形容され、「日本遺産」に初めて登録された。一帯が大山隠岐国立公園を構成するエリアである。 前夜から降りつづく雨は朝になっても止まなかったが、徐々に小降りとなって霧雨に変わってきた。三佛寺の公式サイトで確認すると、「現在、参拝登山が可能です」となっていて、急いで参道から寺院の参詣者受付をめざす。投入堂の登山参拝受付で靴と雨具のチェックを受け、必要最小限の荷物で宿入(しくいり)橋を渡る。 十一面観音堂(野際稲荷)から木の根を頼る「かずら坂」へ来ると、上下に別れて一方通行のルートが設定されていた。「クサリ坂」の濡れた岩を登れば懸崖造の文殊堂(国重文)で、すぐ上部に同様の地蔵堂(国重文)が見える。袖摺(そですり)岩を経て、鐘楼堂でよい響きの鐘を突く。その先は傾斜がなくなり、馬ノ背・牛ノ背がつづく。 岩屋に囲まれた納経堂(国重文)から隣に建つ観音堂で胎内くぐりをすると、元結掛堂(もとゆいかけどう)の前だ。右へ回り込めば、前方に投入堂と不動堂が姿を現した。岩窟近くまでは行けるものの、残念ながらその先は柵で立ち入ることができない。役行者が法力で投げ入れたという御堂(投入堂・愛染堂)に手を合わす。 滑らないよう注意して下山したが、なかでも文殊堂直下の岩場は、雨で滑りやすくなった太い鎖をしっかり握らないと危ない。登山参拝受付で下山届に時間を記入し、輪袈裟を返して参拝を終えた。その後は、境内の本堂をはじめ輪光院・正善院・皆成(かいじょう)院に立ち寄る(2025.10.19)。 |