前日の天塩岳と同様の天気予報に、行動10時間の武利(むりい)岳・武華(むか)山は、ちょっと難しいと思われた。いくつもの予報サイトで、時間ごとの状況と変化を確認するものの、降水確率が昼前からどれも高い。 石狩川右岸の大雪山北部は、これまでニセイカウシュッペ山に登っただけなので、両山をぜひ登りたい。だが、道北から道央の眺望を楽しみにしてきたので今回は見合わせよう。 こんなこともあろうかと、表大雪の未登のピークを登る代案も考えてきた。大雪・十勝連峰は若い頃から何度も訪れたので、主稜の山々は東大雪を含め概ね登っている。トムラウシ山西面のクワウンナイ川の遡行も印象に残る。だが、赤岳と緑岳(松浦岳)が残っていて、銀泉台から日帰りで往復することにした。 青空が覗く銀泉台に来ると、駐車場にはけっこうな数の車が停まっていた。森林管理署の入林届には本州からの人が多く、夏の北海道らしい状況を示す。 標高1520mの赤岳登山口から、樹林帯を登ると「見晴台」に着く。東には、ピラミダルな屏風岳の背後に予定していた武利岳・武華山がシルエットで連なる。北はニセイカウシュッペ山が存在感を見せ、南東には石狩岳の山稜が大きい。遠く、音更川流域の山々も姿を覗かせていた。 スプーンカットの雪田を慎重に進み、奥ノ平を経て一段上がると駒草平に出た。名前どおり、そこかしこにコマクサが咲く。イワブクロも多い。さらにもう一段上で、再び雪田をかすめた。緩やかなお花畑(東平)と雪田の向こうは東岳のピークであろう。 傾斜の強い斜面を登り切ると赤岳に着いた。西から強風が吹きつけるので、雨具を着て岩の上に立つ。旭岳や北海岳・北鎮岳など高峰群は、ガスに隠れて望むことができない。二等三角点(点名=幌加石狩岳)は台地の端にある。 耐風姿勢をとりながら広大な尾根を白雲岳めざして進む。次の小泉岳で、かつて歩いたトレースと繋がった。まず、その先に位置する白雲岳へ縦走路と接続する鞍部から往復する。ガスは濃淡を繰り返し、三等三角点(点名=大石狩岳)をタッチしてすぐに戻った。 次は緑岳(松浦岳)へつづく尾根を、強風に煽られないよう注意しながら進む。広く緩やかな地形がつづき、鞍部から登り返すと開けた山頂が待っていた。「北海道」(北加伊道)の命名者=松浦武四郎に因む山名である。 往復1時間で小泉岳に帰り、赤岳から往路を銀泉台へ。午後になったので、東側の山なみが順光線で明確になる。山々の重なり具合がよくわかるようになった。ゆっくり観察できたので、次の山行に生かせそう。 武利岳などは雲で隠れる時間があったものの、大雪山は予報ほど天候が悪化せず、ときおり小雨が吹き付ける程度で済んだ。17キロメートルの距離に、7時間30分を費やす代替山行だった(2025.7.17)。 |