別名を嶽山と呼ぶ砥石(といしが)岳は舞鶴市大俣地区にある。山名のとおり砥石を産出した山で、泥岩の採掘跡も残るという。京都縦貫自動車道の舞鶴大江インターチェンジ辺りから見ると、北西に鋭い三角形が目立つ。綾部から宮津方面に向かえば、低いながらも印象に残る山容だ。 京都丹後鉄道の「辛皮(からかわ)」駅から桧川に沿って下り、法隆寺手前の登山口から南尾根に取り付く。鞍部には嶽神社を示す標識があり、帰途は南東側の尾根を下ってここへ周回する予定である。急斜面をジグザグにつづく道は険しく、堆積する落ち葉に足を取られながらゆっくり登る。中腹より上部で露岩が現れた。とても砥石を運べるような道でないため、採掘現場は山麓にあるのだろう。 標高320m付近にちょっと一服できる展望所が設けてあり、由良川水系の山々が姿を覗かせる。弥仙山がよく目立つ。頂上の広場では、今度は大江山連峰の山なみが近くに横たわっていた。遠くは丹波・播磨から福知山周辺の山々が幾重にも重なる。 休憩後は、落ち葉に滑りながら強い傾斜面を降る。「小岳」の標識までくると、尾根の右側を進むようになった。再び尾根に乗り、右手の支尾根を植林地に向かってよい道がつづく。フェンスに囲まれた田畑を迂回して法隆寺の集落に降り立った。 山際に祀られた嶽神社に参拝したあと、荒れた竹林を避けて谷筋を登り南尾根の鞍部に戻る。山里の風景と夏の草花を目にしながら駅へ向かった(2025.6.13)。 |