昨秋の紅葉(黄葉)の時期に予定していたが、交通に問題があって実施できなかったコースである。今回は比良山系南主稜の新緑を楽しみに出かける。道中に三つの峠(木戸峠・葛川=かつらがわ=越・荒川峠)があり、どれも湖岸の集落と安曇川筋を結ぶ古い道だ。 打見山までロープウェイを利用し、山頂で比良岳・烏谷(からと)山を眺めてから出発する。スキーコースを降って木戸峠に来ると、落葉広葉樹の瑞々しい葉が重なり合って気持ちが落ち着く。ここは稜線の重要地点だが、クロトノハゲに向かうトラバース道は各所で崩落し現在は通ることができない。また、比良岳に向かう縦走路も白滝谷側の支流(源流)にルートがあったと記憶するが、今は尾根をたどるように変わっていた。 比良岳の頂上は縦走路から往復する。途中の林床では初夏の草花がいくつもみられた。ツツジ類も多く、なかには赤紫色が際立つものもある。サイコクミツバツツジがまじっているのかもしれない。葛川越まで降り、登り返すと烏谷山(三等三角点。点名=大物)に達する。雲に覆われた琵琶湖を眺めながら休憩した。北面はシロヤシオ(ゴヨウツツジ)の木々が多く、あちこちで花のトンネルが見られる。まだ、蕾のものも多い。荒川峠が近づくと西側に植林地が広がった。 大岩谷へ下る峠道は、南東側の支尾根を進んでから谷に向けて斜面を折り返す。植林地によく踏まれた道がつづく。若い頃は葛川越が多く利用された。しかし、現在は逆の状況で植林作業が影響しているのかもしれない。流水の音が聞こえてくると、岩の下から流れ出る水場に着いた。しばらくで大岩谷(本谷)を遡る葛川越の道と合流し、緩くなった道は反転して中谷へつづく林道に降り立つ。荒川の集落を通り抜け、田畑の間を松ノ浦に出て琵琶湖と対面した。 久しぶりにこの季節の山を歩いて、花々に彩られる比良の自然景観を堪能する一日になった(2025.5.18)。 |