探山訪谷[Tanzan Report]
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 No.1027【大辺路を歩く(馬転坂・長井坂)】
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左=周参見の町並み  右=馬転坂から和深崎を望む
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馬転坂を降ると目の前に海が広がる
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左=西浜(「西の庚申さん」)  右=「タオの峠」(境目石)
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左=常緑の葉が瑞々しい〔タイミンタチバナ(?)〕  右=ヤブツバキ
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石垣の美しい屋敷
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左=和深川の集落  右=和深川王子神社
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イチイガシの巨樹(和深川王子神社)
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自然林にはウバメガシやコナラが目立つ
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左=猪垣  右=版築(段築)
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長井坂から見老津を見下ろす
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左=長井坂の道  右=石段
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枯木灘(遠景左手から潮岬が張り出す)
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沖ノ黒島・陸ノ黒島(右手)
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左=長井谷口に残る道標  右=見老津への坂道
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見老津の海岸
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 周参見(すさみ)の中心部から国道42号で浪越坂を登ると、目の前に枯木灘が視野いっぱいに広がる。しばらく道路を歩き、生コンクリート工場の間を通って尾根に取り付いた。いきなりの急斜面で、ロープがフィックスしてある。馬転(うまころび)坂と呼ばれる意味が理解できた。しばらくすると穏やかになる。西側の峠を大串峠(馬転坂)と称し、最高地点付近が地蔵ノ壇である。南面下部は太陽光パネルが一面に設置してあり、立入禁止エリアがつづく。141m標高点の山腹をトラバースして海辺に降りた。この下り坂を馬転坂と呼ぶらしく、一般的には全体を馬転坂という。
 西浜の「西の庚申さん」を見て紀勢本線に沿って進む。トンネルの上部に「タオの峠」の標識があり、道路を離れて旧道へ入る。峠に境目石〔和深川村・口和深村。明治43(1910)〕が立っていた。「タオ(垰)」は峠を表し、標識のままだと「峠の峠」を意味する。一里松跡を過ぎると、1973年に廃校となった協和小学校の建物が見えた。道路に戻り、和深川(わぶかがわ)の谷筋を奥へ進むと美しい石垣が連続する。好ましい風景がつづく。
 和深川王子神社は、寛永2(1625)年に松本四郎太夫広正によって創建されたと記してあったが、古くは社殿のない矢倉大明神である(『周参見村郷土誌』)。大辺路では数少ない王子社のひとつだ。周囲の社叢にはムク・ナギ・イチイガシの巨樹が点在する。
 長井坂(長柄坂)の登り口付近はルートが変わったようだが、猪垣の間を折り返しながら尾根に向かうと古い道が戻ってきた。双子山トンネルの上は、地形図の歩道より上部をトラバースする。次のピークとの間では、版築〔はんちく(段築=だんちく)〕と呼ぶ平坦な土手状の尾根道になる。官道の維持管理を行なう上で重要な造作らしい。一定の高さに保たれた平面は、水を溜めずどう逃すかにかかっている。明確な区間は2ヶ所あった。
 歩きやすい道を進むと、ところどころで枯木灘が俯瞰できる。場所によっては、見老津(みろづ)・戎島、江須(えす)岬、里野三崎、潮岬を見ることができた。紀伊半島西海岸の風景はすばらしい。
 下り坂になると石段が現れ、ほどなくして長井谷口の茶屋ノ壇(段)で車道に出た。「みぎハやまみち/ひだ里ハくまのみち」と表示された古い道標が残る。道路は左へカーブして香ノ塔(こうのとう)峠に向かうが、古道は尾根をそのまま下る。海辺が間近に迫ると、ヒトツバが群生する岩の斜面を降って長井川の畔に出た。すぐ先に「見老津」駅が見える。
 予定より早い電車に乗れたので、周参見の町を少し散策した。萬福寺の背後にある秋葉山では、天然記念物の稲積(いなづみ)島が近い。墓地の奥にある稲荷社・金毘羅社を経て登った。周参見城の跡らしく石積みが残る。きのう訪ねた周参見王子神社の裏にも、同じく周参見氏の周参見中山城跡がある(2025.2.21)。
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秋葉山から稲積島を見下ろす
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周参見漁港(稲積島は亜熱帯性植物が繁茂し、オオタニワタリの北限地とされる)
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