探山訪谷[Tanzan Report]
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 No.1019【笠丸山】
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大辺路(佐野川河口付近)から望む笠丸山
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左=宇久井半島  右=佐野王子跡
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左=船山  右=塩見峠への道
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左=塩見峠(高田側)  右=笠丸山
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子ノ泊山(遠景左)と相野谷川下流方向
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宇久井半島と熊野灘(半島の左端は目覚山)
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笠丸山(カジアゲ峠に向かう尾根から)
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高田川流域(最遠景右手は子ノ泊山。遠景左は白見山の山稜)
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左=皆伐された荒木川源流の谷  右=幅いっぱいのナメ床がつづく支流
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カーブしながら流れる本流のナメ床
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二条のナメ滝
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左=荒木川を振り返る  右=「紀伊佐野」駅から望む笠丸山
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 新宮市の南西部で存在感を示す笠丸山は、佐野から高田に越える塩見峠と相賀(おうが)へ越えるカジアゲ峠の間にある峰だ。どちらの峠も海辺から高田川流域に通じる古くからの道である。今は熊野川沿いを新宮市街から容易に辿り着けるが、かつては生活を支える重要な往来であった。
 宇久井半島で泊まったため、大辺路の一部を歩いて山へ接近する。佐野川を渡ると那智勝浦町から新宮市に入った。佐野王子跡を過ぎると木ノ川流域で、最奥の集落(船山)から塩見峠道を登る。以前は、袋作から仁(にの)滝を回り込んで尾根に取り付くルートがよく使われたが、斜面の崩落で通行できないらしい。その道と合流する尾根(標高260m)から降って滝を確認した。
 ところどころで傾斜が急になり、峠道といえども苦しい道のりがつづく。稜線には林道が通って、峠らしい風景は望むべくもない。西は光ヶ峯に行ける。稜線を東へ忠実に進むものの、迂回しながら登ってくる林道とたびたび出合う。ひとしきり登って笠丸山の頂上に達した。
 直下の東面は伐採され、子ノ泊(ねのとまり)山の山群などが一望できる。樹木を伐る音は鳴り止まず、カジアゲ峠へ向かう稜線の西側で作業中のようだ。林道を走る車が見えた。右手の荒木川源頭も全域が伐採され、薮で道を追うのが難しい。けっきょく、作業道を利用して水流の際に降り立った。
 峠道は途切れながらも、左岸・右岸と渡り返しながらつづく。自然林が戻ってくると雰囲気はよくなった。最初に出合う右岸の支流はナメ床で合流する。転石の多かった谷がやがてナメ床になり、屈曲を繰り返しながら連続する。心地よく足を運ぶと、二条になったナメ滝が現れた。その先で左岸に渡って谷筋を外れる。西側には地形図に記載される隠れた滝(15m・5m)があるようだが、宇久井まで移動しなければならないので割愛した。巨大な砂防堰堤を越えると道はよくなり、頭上高く通過する高速道路を潜って佐野に出た。
 「新宮」駅で少し時間があったので、秦の時代に中国から渡来したと伝わる徐福の墓と徐福之宮(阿須賀神社境内)を訪ねる。神社の背後にある丘陵が蓬莱山で、近くに上陸の地を示す碑も立っていた。駅へ戻る途中に、大正時代の旧チャップマン邸と西村家住宅(西村伊作記念館)へ寄り道する。「文化学院」(東京神田駿河台)の創設者である西村伊作(にしむら いさく)は、新宮が誇る教育者であり実業家でもある。付近の新宮教会(日本キリスト教)の建物も美しい(2025.1.31)。
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左=「秦徐福之墓」〔元文元(1736)年建立。徳川頼宣が李梅溪に書かせたとされる〕  右=阿須賀神社(阿須賀王子跡)
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左=旧チャップマン邸  右=西村家住宅(西村伊作記念館)
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