「金の鶏」の民話が伝わる西光寺(さいこうじ)山は、兵庫県西脇市の最高峰だ。山上に金鶏山西方寺の跡(「大洞山」南東斜面の標高620m付近)が残る。南へつづく稜線には加東神山(かとうこやま)があり、このピークは加東市の最高峰である。今回は、丹波篠山市の今田(こんだ)町本荘(ほんじょう)からのルートを選び、加東神山にも寄る予定で出かけた。 東条川の支流に沿って西光寺池に達すると、正面に西光寺山の稜線がゆったりと横たわる。燈篭と流れの傍にある手水鉢を見て対岸に渡れば二基の炭焼窯があった。ここから地形図の道と異なる斜面を登る。稜線近くで地形図のラインに戻り、まもなく山頂の一角に着いた。先日の雪がまだら模様に残る。 露岩を越えると東屋の建つ頂上に達した。三宝荒神の小祠と三等三角点があり、北西から北側を除いて周囲の山々を望むことができる。丹波・北摂・六甲・播磨方面の特徴ある地形をもとに、山座同定の時間を過ごす。期待していた但馬や小豆島は霞に覆われており、淡路島も掴みどころがない。 昼食後は丹波篠山と西脇の市境稜線を進み、急登をこなすと洞ヶ山西光寺の「南無法蓮華経」碑が立っていた(「大洞山」)。次のピークが加東市との交点で、加東神山と呼ばれる。南側に四等三角点(点名=大峯)があるので往復した。 東へ張り出す尾根から519m標高点に向けて道があるらしい。降り始めるとすぐにルートを落葉で見失った。仕方がないので、歩きやすい斜面をトラバースぎみに標高点をめざす。一帯は落葉広葉樹林が広がる。炭焼窯の跡も確認した。 支尾根にある標高点西側の鞍部へ近づくと道が明瞭になって、あとは谷に沿って降るだけだ。何箇所も窯跡の石積みが残る。かつて、人々の暮らしを支えた痕跡である。傾斜が緩くなった雑木林に小さな祠があって、すぐに往路と合流した(2024.12.25)。 |