翌日に屋代島(山口県)の山登りを予定しているため、久しぶりに広島へ立ち寄ろうと前日に出かけた。交通の便がよい島はないかと調べてみたら、似(にの)島・江田(えた)島などが行けそうだ。ただ、似島の安芸小富士が現在は頂上に立ち入れないことが判明し、別の機会に譲る。 江田島は旧海軍兵学校のあった島である。かつては、西能美島・東能美島とは別の島であった。今はつながってすべて江田島市になっている。東隣の倉橋島とも、早瀬瀬戸を跨ぐ道路で往来できる。 港のある小用(こよう)から奥小路(おくしょうじ)の登山口に向かい、古鷹(ふるたか)山からクマン岳へ縦走して切串(きりくし)港まで歩く。3時間程度のハイキングなので、船便の都合で出発地が計画と逆になっても差し支えない。古鷹山は小舟を助けた鷹の伝説に因む山名で、クマン岳は大きな熊の形に模した見張り(熊ヶ岳)が由来という。 登山口から墓地の横を登ると、すぐにヤマモモなどが生える自然林が広がる。西側は自衛隊の鉄条網がつづき、標高が上がると博打岩に着く。付近には露岩が多く、海賊が見張りの合間に博打をしていたらしい。岩屋の天井には黒い焚火の跡が残っていたという。その上部からは、古鷹山の尖ったピークが美しい。三角点を往復し、ロープがつづく岩場を登ると頂上に達した。方位盤や自衛隊の旗が立っている。周囲の眺めもよく、ゆっくり時間を過ごす。ただ、中国山地は雲に覆われており遠くが判別できない。 北西にある林道の峠(クマン岳登山口)へいったん降り、登り始めると帆立岩に出た。隣にある西能美島の野登呂山(宇根山)が存在感を見せる。クマン岳では厳島(宮島)が近くなった。下山路の途中にある露岩では、広島湾と似島がより近く見下ろせる。尾根から小さな谷へ降ると、ほどなく切串の集落に入った。「倶會一處(くえいっしょ)」と彫られた墓石が目立ち、ところどころでミカンが成っていた。道なりに下流へ向かいフェリーの発着場へ着く(2024.12.5)。 |