探山訪谷[Tanzan Report]
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 No.4【音羽ノ滝を探る(高野川支流音羽川)】
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上=音羽川本流にかかる連瀑帯、小滝やナメを合わせ全体で16m(いちばん上の落差は堰堤)
下=源流から下流方向を見下ろす
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otowagawa3spacespacespacespacespacespacespace 『雍州府志』や『都名所圖繪』など、江戸時代の地誌に必ず登場する「音羽の滝」はあるのか。「古来和歌に詠せし名勝にして世に著しかりしか、数十年来採石の為め全く舊を亡い今はほとんど見るべきものなし」(「修学院村志」)とされるが、その片鱗でも見つけることができれば歴史的にも面白いと思った。

 雲母坂の取付から溝のような急坂を登り、平坦な尾根道に出ると渓流の大きな水音が聞こえてくる。その音源を確かめることも目的である。

 音羽川はこれまでたびたび災害を起こし、今では下流はすべてコンクリートで覆われ、自然な水系としての姿はなくなっている。とくに、1972(昭和47)年の水害以降は、砂防のための大規模な堰堤や護岸工事が継続して行なわれ、今も続けられている。入渓地点はその歴史を学ぶ教育施設で、なかには戦前に施工された石積みの堰堤も混じっている。材料の石は付近から調達したとされ、旧石切場も採石場として機能していたのだろう。

 左岸の旧石切場(石切丁場)下部に、ナメや小滝の連続する箇所があり、合わせると高さ約16mになる。水量の多いときは、なかなか迫力ある眺めだ。印象としては、現代の「音羽ノ滝」というところだろう。また、杉谷出合の下流には雰囲気のよい流れがあって、かつての様子を想像することができる。

 子供の頃のわずかな記憶を頼りに遡行したが、小さな石積みの落差が連続する流れや左岸にあった石切道の痕跡を確認することはできなかった。次回は落葉期にもう一度調査したい。
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音羽川中流部遡行図(2002年調査の図に最近の砂防工事を加筆)
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